晴れ。
南風が強く、
1便運行
2,3便欠航。
湿度が高く、空気が重たいが
常に強めの風が吹いているため、比較的過ごし易い。
豊年祭の真っ最中ではあるが、
むりくり時間を捻出して
製糖期からずっと行きたかった島の東端に行ってきた。
隆起サンゴ剥き出しの、崖っぷちである。
落ちたら間違いなくあの世行き。
底の見えない紺碧の海が、岸壁とぶつかっては白波を高々と上げる。
岸壁にぶつかっては白波になり、
ソーダ飴みたいな色になってしばらく海面で泡立っている様子は、
綺麗でもあり怖くもあり。
常に止まることのない波とうねりのエネルギーに圧倒される。
多分、地球が自転している限りこのエネルギーは止まることがない。
止むことのない波のエネルギー。
誰に動かされるでもない
動き続けるエネルギー。
ここに来ると、
「死にたい」という気持ちは速攻で恐怖に掻き消される。
海は怖い。
地球のエネルギーは容赦ない。
お前のチンケな命など要らない、さっさと帰れと轟(とどろ)きに言われる気がする。
人知未踏の領域ではあるけど
強風に煽られないよう居させてもらう。
東端の出っ張りに来ると、
タイタニック号の先っぽってこんなカンジだったのかな??って思うくらい目の前には広大な海が広がり、眺めが良い。
ここで朝日なんか見たら最高だと思う。
島の西側とは対照的な、
荒々しい剥き出しの隆起サンゴの大地。
この辺りの崖は、自殺の名所?らしい。
実際、何人かここからダイブしたはず~という話は聞いたことはある。
落ちたら二度と上がってこれないだろうな、ってのは明白だし、誰も助けに行けないから確認したことはない。
色々あったにせよ、よくまぁこんな所からダイブできるものだ。
私は足がすくむ。
幾人もの命を受け入れてきた海は、さながら生命のスープだ。
赤ちゃんが浮かぶ羊水と同じ塩分濃度の海。
不思議な一致。
ダイブした人は、
この荒海の中に入って何を思ったのだろうか??
もう引き返せない領域に来て、後は死ぬのみ。
何を思ったんだろう?
飛び込んだとて、すぐに死ぬ訳じゃない。
後悔したところで、もう引き返せない領域に来て、怖かったり 痛かったり 苦しかったり 哀しかったり 嫌になったり しなかったんだろうか??
誰も知りもしないところで独り、死んでいくのはどんな気分だったんだろう?後悔してない??ちゃんと成仏できた??
崖の上の《生》の領域で、
眼下に広がる《死》の領域を想像する。
メメントモリ。死を想え。
まぁ大した勇気だよ。こんな所からダイブするなんてさ。
いやでもこんな眺めの良い所から飛ぶのは、さぞかし気持ち良さそうだけど。
(о´∀`о)
ちょっこり飛んでみたい気にもなるけど。。
いやいや
飛んだら二度と元には戻ってこれない。
紺碧の荒海に、呑み込まれていくだけ。
海は語らず
その余すエネルギーをぶつけてくるのみ。
崖の上にいる私は、《生》の領域にいる。
容赦ないエネルギーをぶつけてくる海の織り成す白波の綺麗さと残酷さを感じながら 自分と対話。
自分の姿が、相手に反映されて見えているんだよ。
(ウザいと思うとき、そこが自分のウザさでもある。)
他人を変えることはできない。
他人を変えたかったら、自分が変わるしかない。
自分が変わるだけでも、どれだけ大変か?
恐さを怒りに変えるのではなく
素直に自分の希望を言うこと。願うこと。
死にたくなったら、
《死の領域》を見ると、良いのかもしれない。
あんなにも暗く、誰もいない領域に飛び込むくらいなら、
まだまだ
《生の領域》でできること、やってないことはあるはずだ。
『チャレンジする』ことは、
生の領域でしかできない。
めためたに落ち込んだ時、
一人泣きたいときに、死はそっと寄り添ってくれる。
崖っぷちのまさに彼岸で、死の恐怖と共に絶景を拝む。
崖は境界。彼方の岸か。
ぶち破るのは、自分の壁だ。
ダイブするべきは、
己の恐怖に向かってなのだ。