離島生活で思ったこと

沖縄の離島で暮らす中で思うこと、考えたことをつらつらと書いています。思考のウンコのようなものなのでまとまりはないです。

『ハゴロモ』吉本ばなな  ざっくりと感想

 

 

 

台風で外に出れない間、

 

部屋の断捨離もしつつ、久々に吉本ばななさんの『ハゴロモ』を読み返していました。

 

 

 

この本を最初に読んだのは富良野の図書館で。

 

民家のお店で出されるインスタントラーメンが印象的だったという認識でした。

 

 

 

改めて読んで、やっぱり楽しかった部分は民家の一室を改装?したお店で出されるラーメン。

 

 

カンジの良い店主が、

新鮮なもやしや玉子を乗っけて出してくれる。インスタントだけど、(無許可のお店だけど)、そこがまた美味しい。

 

 

そんな印象の本でした。

 

 

 

もう何十年も前に書かれた本で、

 

今読むと、元々吉本ばななさんの本が苦手だった私にはやっぱりちょっと苦手な文章で‥‥全体に漂う空気感が苦手というか。

 

どうも、今風に言えばインスタ映えな文章ってカンジで苦手になってしまう。

 

文章自体は、この人にしか書けない素晴らしい文章なんですが。相性ですかね。。

 

 

でも、冒頭の文章は改めて素晴らしいと思いました。

 

少し、引用させて頂こうと思います。

 

 

*****

 

 

 私のふるさとであるその町は、川の隙間に存在するようなところだった。夏はわりと涼しいが、冬はとても寒く、山のほうではたくさん雪が降る。

 町の中心を流れるその大きな川はいくつにも限りなく枝分かれし、町中を蜘蛛の巣のようにめぐっていた。大きな部分とは対照的に、その細い流れは夜にはぬめった黒く光る糸のように見えた。

 どこを歩いていても川の音が、闇の中をついてくるようだった。町中に大小さまざまな橋があり、橋はある種のリズムを作り、その川ばかりの景色の中でまるで句読点のように人々をふと水辺に向かって立ち止まらせていた。

 町中の人が眠るときも、その夢にはいつでも川の気配がよりそっていたし、彼らの人生が様々な展開を見せるとき、心の背景にはいつも川があった。

 

 

*****

 

 

これ、冒頭1ページ目に出てくる文章なんですが、

 

この文章、表現力にやられました。

 

 

好き嫌いはありますけど、

 

やっぱり吉本ばななさんは凄いんだと思います。

 

実はせっかちという私にとっては、一つの文章が長ったらしくてまどろっこしくてやってらんないんですが(о´∀`о)(※決して悪口ではない)

 

いやでもこの文章は、なかなか書けないですよ。くやしい。。

 

素晴らしい心象風景です。

 

 

 

そんなこんなで打ちのめされながらも

まどろっこしい長い文章にもめげず、なんとか再読。

 

 

 

この物語は、不倫していた主人公の恋が終わったところから始まるのですが、

 

ただ今別に恋愛などしてない私には、あまり共感できませんでした。

 

 

お年頃の、恋愛真っ只中の人が読んだら響くのかもしれません。

 

 

この本を読んだ当時は、まぁ、、、富良野という別世界に逗留してたし、

前年度に同じ富良野で出会った彼氏と別れて、一人でまた同じ富良野に逗留してて、切なさが身を包んでいたのもあって、吉本ばななさんの描く世界観がはまっていた。(んだと思う。)

 

 

この時に、いろいろな吉本ばななさんの本は読んだなぁ。。

 

 

吉本ばななさんの本は、基本的に失恋した時に読むのが良いです。

 

 

 

 

ハゴロモ』ですが、

 

初期の頃に書かれた本ということもあって、今読むとちょっと無理なセリフ回しとか、あれ?って展開が見受けられます。

 

これは吉本ばななさんの著書に共通するのですが、ラストは夢オチみたいので解決してくところがまた苦手なんですね。

んな訳あるかいと、特段不思議体験とかしたことない私は思ってしまう。

 

夢に故人が出てきて何か言うとか、ヒントをくれるとか、そんなんで解決する訳ねーだろと、思ってしまう私のような人には少々不向きかもしてません。夢物語みたいな夢物語に浸りたい人には良いかもしれません。

 

なんか悪口書いてるみたいだけど、素直に個人的な感想を述べると私にとってはそんな感じでした。

 

 

いやでもなかなか書けない文章であることは間違いないんです。

 

 

 

 

富良野で逗留していたキャンプ場にも小川が流れてて、堰のところを流れ落ちる音が四六時中轟々と聞こえてたし。

 

実は『ハゴロモ』の、町中に川が流れている舞台と似てたんですね。

 

 

そんなことに気付けた今更。

 

 

本て、読む時によって見方が変わるからやっぱり面白いです。

 

 

 

 

 

 

今読んでもやっぱり一番のオススメは

 

主人公が出会う青年が自宅で勝手に開いていたラーメン屋のところ。

 

 

夜になると現れる赤い提灯に階段。

 

ブザーを押して入るとふつーの民家で。改装したのであろうカウンターに5席。

 

 

ラーメンはインスタントの袋麺で、塩か味噌かミックスか。

 

 

 

商売って、本来こんなカンジで良いんだと思う。

 

現実に今の日本でやったら保健所がすぐにすっ飛んできて営業停止だけど。

 

 

 

こんな風に、ふとした時に灯る提灯があって。

 

中に入ったら誰でも受け入れてくれる場があって。

 

そこは、同じような人にしか見つけられないから荒れることはなくて。

 

ちょこっと心が弱ってる時に立ち寄って、手軽なお値段でお腹を温められて。ほっこりした元気を貰えて。もうちょっと頑張ってみようと思える場。

 

 

そんな場所があっても良いのになぁと、

 

この本を読むとそんな深夜のお店をやりたくなる(笑)

 

 

 

そして、袋麺の印象が良くなる本です(о´∀`о)

 

 

間違いなく、ラーメン作る時には新鮮なもやしを入れて、丁寧に作りたくなるよね。

 

 

 

 

そおいう心を知れたのは、この本のおかげかもしれません。

 

 

 

 

 

ご都合主義なおめでたい展開には少しイラッときますが、

 

ふとしたことで出会った男女の、性別関係ないやりとりは好きです。

 

 

100%おすすできる訳ではありませんが、読みやすい文章量なので、吉本ばななさん入門としては良いと思います。

 

 

 

 

でも断捨離しちゃったけどね。。(すみません)

 

 

 

いや、今もう絶賛いろいろな物を断捨離してるんです。

 

 

 

本に浸ってる場合じゃないのよ。自分の人生進めないと。

 

 

 

私は、こうした物語の先に行きたいんだ。

 

 

 

 

 

この本は間違いなく素晴らしいですけど、

 

本を読んだら自分も一歩、コマを進める。

 

 

それが、真に本を咀嚼することになると思うのです。

 

 

 

 

印象に残った部分を心に残して自分の物語も進めようね。

 

 

そんな気持ちです。

 

 

 

 

 

 

 

もしも島で深夜に開くラーメン屋?を私が始めたら。

 

それはこの本の影響だと思います。