またまた久々に読んだ漫画の感想です。
ネタバレは多分あると思うので注意。
最近 漫画ばかり読んでいます。
久々に読むとまた自分の見方が変わってたりして面白い。
淡く切なく美しい漫画です。
時代設定はファンタジーだけど、作者がいうには江戸~昭和の間くらいの感じらしいです。
登場人物はみんな着物姿だけど、主人公のギンコだけはチノパンにシャツみたいな洋服?格好です^_^;
まだ近代文明化前、人々が自然と寄り添って生きていた時代。
旅人が訪ねてきたら普通に家に上げて泊めてあげてるのがいいなと思います。
この時代にはそれが普通だったんでしょうね。
お金がなくても旅ができるし、
それは ギンコはギンコで蟲師としての特殊技能で人の役に立てるからこそだとは思いますが。
人の役に立てる(特殊)技能を持ってれば何処に行ってもやってけるんだな~………私にはそおいうのがなかったから……あんまり旅を続けられなかったんだろうな~……などとも思いながら 読んでいました 。
結局、『蟲』とは何じゃ?という問いが、物語中 何度か出てきます。
生命のようであって生命のようでなく
ただ在るように在るだけ。
理(ことわり)
という表現で集約されていました 。
なぜ人間がいるのか
なぜ地球はあるのか
なぜ宇宙はあるのか
なぜ皆、生きようとするのか
なぜ生と死があり
喜びと哀しみが生まれ
嫉妬や憎悪も生まれるのか 。
きっと、
この世に悪魔のような存在がいて私達の生活を滅茶苦茶にしようとしてるのも
いってしまうばただそれが『理(ことわり)』だからなのかもしれません。
(о´∀`о)
いや~…
それを言っちゃ身もフタも無いでしょ
( ´∀`)ってカンジですが。
陰と陽
光と影
両者が存在し バランスを取ろうとしているのがこの世。
光だけの世界に生きたいのであれば、それは既にこの世ではないんだろうなぁ・・・とも思いました。
今、コ○ナで世界が停止してるでしょ。
で、水面下では色々な利権争いや支配構造の主導権争いみたいになってて。
嫌な世の中だな~ってともすれば思いますよ。
要は家畜の奪い合いっつーか、、
いや我々家畜じゃねぇし……とか、、いってみたところで、自給自足して生きる知恵も実力もないし。。(о´∀`о)
一生家畜として面倒見てくれるんならそれはそれで楽かも、って理屈も分かるけど
複雑。
世界の裏側を知ったところで、自分にできることなんて大してないだろうし。(それでも自分には無理だと諦めるのももっとダメだと思うけど。)
別にも~死んだっていいさ~って思ってもさ、
自分の中にある本能や、細胞、ミトコンドリア、
血管の中にいるという世界最小生物ソマチッドさん等は、生きたがってるんですよ。(多分。)
あぁ・・体内細菌の数々も、 きっと生きたがってますね。何十・何百兆という体内にいるこれらの生物たちが、自分一人の意思に反して生きたがってる。癌細胞もさ。
実は自分一人の中に途方もない生命体がいる訳で…………
そー考えると不思議ですね~(о´∀`о)
そんなのも分からず、正体不明のものは妖怪や精霊のせいにしていた時代のほうが、ファンタジックで夢があったかもしれませんね。。
ギンコのように普通の人には見えないものが見える力があったり特殊技能を持っている人には憧れますが
ギンコ自身はそれを望んでそうなった訳ではなく
実際には「不幸にもそうなってしまった」といったカンジです。
でも本人はその境遇を受け入れてますので……別に不幸ではないんですね。ただ、ひとつの場所に腰を据えられない、というのは 大変だろうな~と思います。常に移動しなきゃならないですからね。そうじゃないと、蟲を集めてしまって自分にも周囲にも悪影響を与えてしまうという。。
ギンコは他の蟲師に言われます。
「この世に
居てはならない場所など誰にも無い」
「この世のすべてが
お前の居るべき場所なんだ」と。
沖縄の離島に来て、余所者差別に哀しい想いをした私には、泣けてくるセリフでした 。
又、ふるさとを災害で失くし、移住を余儀なくされた人にも 響いてくる言葉ではないかと思いました。
ずっとずっと、自分のご先祖様がいた土地だけが自分本来の居場所で、それ以外は余所の・・・・余所者扱いされる土地なんだと・・・・
自分の育った地域でさえ、「ここは違う」と思っていたのですが・・・・
この世のすべてが 自分が居ていい場所、と思うと………なんだか救われますね。。
(でもやっぱり余所の土地に赴く際には、その土地を支えてきた人達に敬意を払い、その土地のやり方に合わせ、周囲に認められるまではここが自分の居場所よ!なんて身勝手な主張はやっちゃいけないと思いますけどね。)
ギンコの、
過酷な運命に抗わず、受け入れて 飄々とマイペースに旅をしているところが好きです。
きっと、
ひとところには居られなくても、
あちこちに「また来てよ!」という人たちが待っているんだと思います。一年に一回ずつでも、会いに行くだけで忙しいでしょうねぇ。
映画版では蒼井優ちゃんが演じました・淡幽もその一人です。
吟遊詩人みたいに旅するのが私の夢でもありました。
実際旅をしてみて、ず~っと旅して生きるのもなかなか大変だと身に染みましたが
ギンコのように旅をするのにはやっぱり憧れます。
行く先々に現れる蟲、その蟲に囚われた人々、心奪われた者、
光もまた 見続けると心が闇に囚われるように
いろんな人間の 内面に潜む誤魔化せないドラマを描いてみせてくれます。
また、
作中では豊かな里山の風景とともに山がよく出てくるので
山のある所で育った私としては、山がとても恋しくなります。
山には山を守るヌシがいる、というなら
島にも島を守るヌシがいるのかな??(絶対いるはず!)とか、
ファンタジーな世界観に想いを馳せるのも楽しいです。
てか、絶対 土地土地に、その土地を守る神様って、いるはずなんですよ。
現代は、その神様が意図的に悪い奴等に封じ込められてて。こんな世になってしまいましたが。じゃあそれをどうしたら解放してやれるのかな、とか
守りを復活させられる方法は?とか
そんなことも ぐるぐる考えながら読ませて頂きました。
また、この漫画を通して知った祖谷のかずら橋に一度は行ってみたい…!!と思っていたんですけども、昨年、行くことが叶いました…!!!
叶えて下さったKさま、危険な山道を長距離運転してくださりありがとうございました。
山深い山の中にあるかずら橋、今ではすっかり周辺が観光地化してましたが^_^; その山深さはまさに蟲師の世界観でして、
山があること、山がたくさんあるって本当に豊かなことだなー・・と実感致しました。
山は神様、という価値観に過言はありません。
豊かな木々が放つ俗にいうマイナスイオンの中には《ソマチッド》さんがいますし。
蟲とは違いますけど、生命体である点では蟲と同じようなものといえるかもしれません。
『蟲師』を通して、豊かな自然を大切に守っていこうとする方が増えればと 願うばかりです 。