離島生活で思ったこと

沖縄の離島で暮らす中で思うこと、考えたことをつらつらと書いています。思考のウンコのようなものなのでまとまりはないです。

今、生きてていい理由




こうの史代さんの『夕凪の街 桜の国』を読んでしまった。



「読んだ」というより
「読んでしまった」に近いのだ。







作者は『この世界の片隅に』を描いた人。


この作品も、原爆の落とされた広島を舞台にした作品だった。

そうとは知らずに読み始め、「しまった」と思った。


この手の作品は読んだら必ず泣いてしまうからだ。



泣かずに読もうと思ったけど、

やっぱり泣いてしまった。












終戦から10年後の広島。
(原爆投下から10年後)






そこでは、貧しいながらも日常があった。

ふつうの暮らし。





でも、幸せな瞬間に巡り会った時ほど フラッシュバックする。

当時の、凄惨な様子が甦り、幸せになっちゃいけないとブレーキがかかる。







〔しあわせだと思うたび〕

〔美しいと思うたび〕

〔愛しかった都市のすべてを〕

〔人のすべてを思い出し〕

〔すべて失った日に引きずり戻される〕

〔おまえの住む世界はここではないと〕

〔誰かの声がする〕








これは、311(や大地震・自然災害等)で被災した方にとっても
共通する想いだと思います。






だから、『この世界の片隅に』もヒットしたんだろうなぁ…と思います。



そもそも、近年起こった災害が
気象操作・人工地震による攻撃で、形を変えた戦争だから同じ訳なんですが。





生き残った人からしたら、
生き残ったことが幸せだったのか不幸だったのか

分からなくなる瞬間はたくさんあると思います。


むしろ、あの時死ねた人のほうが、幸せだったのではないかとさえ思う瞬間もある。


でも、

ふと自分にも幸せが訪れた瞬間、これはあの時死んでしまった人には体験できなかったことなのだと思うと、哀しく、申し訳なくなる。

誰もに訪れるはずだったこの幸せは、あの時死んだ人は得られなかったものなんだと思ってしまって 申し訳なくなる。生き残ったのが自分でよかったのか、わからなくなる。



私も、ふと考えればそう思いますが


実際に被災してたくさんの死体も見て明らかにもう助からないだろうって人も沢山みてしまった人からしら、

全然違う次元でそれはもう瞬間的にフラッシュバックするんだと思います。


そして、どこの誰かも分からない『何か』に「死ねばいい」と思われたんだという実感。。



訳分かんないですよね。
(まぁその正体は、陰謀論を紐解いていけば大体分かってくるんですが。)




ただ、気付いたら生まれてきてて普通に日常を送っていただけなのにね。。

何なんでしょ。











こうの史代さんの作風はほのぼのしていて、ただただ素朴な日常が描かれているのですが

当時、誰もが持ち合わせていたであろう絶望と闇を、

浮き彫りにしてくれます。


人の死さえも、淡々としています。




本当にショック受けた時とか、悲しい時って涙も出ないんで、とてもリアルです。

いじめられても、本当に嫌な時ほど嫌だと言えずに 顔は笑いながら 心は傷付いている時と同じだと思います。


本当に悲しいときほど、人は耐えられないから、そこに蓋しちゃうんですよね。

で、忘れた頃に顔を出してくる。それがフラッシュバック。





奇しくも来年で、311から十年です。

これからが、更に多くの方にフラッシュバックしてくることと思います。



奇しくも原爆と同じく、フクイチからの被曝症状も、いよいよ本格的に出始めるかと思います。



確実に、大勢の方が被曝しているんです。



甘くみないで、今からでもできうる対策はしたほうがいいと思います。

苦しんだって、寿命が来るまでは死ねないんです。







こうの史代さんの作品は、
とても多くの感性を揺さぶり、考えさせられます。







ただ、
同じ本に収録されていた『桜の国』は、ちょっと分かり難かったです。


登場人物があちこち似ていたり、過去と行ったり来たりしたり、繋がっていたり、あまり把握できないまま読み進めて混乱してしまいました。
ネット上にある他の方が書いた感想を読んでようやく理解しました。

読み解いてみると、見事に「夕凪の街」とリンクした良い話でした 。





とにかくこうの史代さんの作品は絵柄や構成から読みとっていく表現が多いので
じっくり読まないと掴めないものが多いです。

何度も読む度に、違う視点を発見。





とても良作でした。







はだしのゲン』とはまた違う、被曝者のリアルが知れます。


全人類に読んで欲しい漫画です。













『闇を知らなくては光は掴めない』











目を逸らさず、向き合うことで、



二度と同じ悲劇は繰り返さない、光ある未来に行けると思います。


というか、向き合わないとダメです。






あのような凄惨な亡くなりかたをした方達の冥福を祈ると共に、


生き残った我々は

それを教訓として幸せな世を築いていくしかないと思います。