ようやく感想を書けそうです。
涙無しには読めない熱い情熱がほとばしる漫画です。
まともに読むと大泣きしてしまって読めなくなるので、
一気に読んだ後、少しずつ読み込んでいます。
とにかく勢いと、情熱があって、心を鷲掴みにされます。
こおいう漫画を知ってる自分を誇りに思います。
そして、これを一人で描いてしまう田村由美先生は本当に凄い。
仕上げにこそ数名アシスタントさんを使っているとは思いますが
ストーリー考案・セリフ・構成・絵は田村由美さんお一人の所業。
やっぱり漫画家さんって神様みたいです。
漫画の内容は、
20世紀末に文明が滅んで数百年後の日本が舞台。
ファンタジーのようでいて戦国時代のような世界観です。
村を潰され、兄を殺された主人公が復讐を誓う過程で
やがては理想の国づくりへと進んでいきます。
この《理想の国づくり》が、《島づくり》にも共通して見えて、とても共感しました。
それぞれに、理想とする国づくりがあって、それぞれに、自分が抱く正義があって。
でも、それぞれ、考えに相違があるから……対立が、起きます。
理想とする国づくり、島づくりって……難しいです。
トップに任せっきりでもいけないし、
でも、誰かに依存・従うだけの民も多いのが現実です。
かといって独裁的になってはもっとダメ。
トップって、民のことを考えるほど苦労する割には救われないな~とも思いました。
だから、現実的には、立場を利用して”ズル“し出す人が出てきちゃうんでしょうね。。
物語は、復讐・目指したい国づくりと共に、
敵同士になる主人公たちの、互いの正体を知らずに恋仲になってゆく過程を主軸にし、進んでいきます。
お互い、存在としては殺してやりたいほど憎んでいるのに、
人間としては、唯一無二の存在として惹かれ合います。
やがては互いの正体を知ることとなるのですが、
物語前半、正体を知らずに温泉で出会ってじゃれ合うところがたまらなく好きです。
互いの正体を知ってしまい、お互いとてつもないショックを受けますが、逃げずに向き合う過程をきちんと描いているところも、作者の力量の為せる技だな~と思って読んでいました。
女性作家は感情的になりやすく、こうした辛い部分を「きちんと」描くのは下手だと思うのですが、流されずにきちんと向き合って描き、かといって物語がダレだり重くなることもなく、
常に一定のスピードを持って進んでいくのです。
主人公たちも、決して逃げることはなく、戸惑い、泣きながらも失いたくないもののため、駆け抜けていきます。
途中、漫画ならではの都合のいい出会いや偶然もありますが(^_^;) そこは漫画ですから、それでいいと思います。
政治家らに読んで欲しい漫画だな~と思います。
戦うことの不毛さ、
独裁政治のダメっぷり、
どんな相手にもその人やその人を愛する人がいるんだという当たり前のこと、
気付けると思います。
トップが愚かだとたくさんの人が無駄に死んでいきます。
逆にトップが賢ければ、生活も社会も安定し、笑顔が増えていきます。
『流通』が、その土地を豊かにしていくことも描かれています。循環していく、ということでしょう。人も血液が循環しないと死んでしまうように、流通も止まってしまうと街が死にます。
無闇に発展する必要はないけど、人や物が来て動いてく場であるということは大切。。
この物語のなかで一番好きなエピソードは、
力で国を維持しようとする父に対して、自分は武器を持つ者には味方しないと、
『絵』を描くことで街や好きな人を守ろうとした息子の話です。
結局は、みんな死んじゃうんですけどね。。
はりつけになった恋人の周りに結界のように絵を描くシーンは圧巻でした。
今だと、バンクシーとかが、そうした存在になるのでしょうか。
物語の中でも、壁に描かれた絵に価値があるからと、取り壊されそうになった建物が絵があるお陰で守られていて そおいうの素敵だな、と思いました。
なにも戦わなくたって、殺し合わなくたって、
『守る』方法は ある。
みんな、物語中では自分の大事なものを守るために殺し合って戦ってる訳ですが、
守るために誰かが犠牲になるのは嫌だと、そんなのはおかしいんじゃないかと、 主人公タタラ(更紗)は涙いっぱいに泣きます。
画面から涙が溢れてくるんじゃないかってくらい、本当に泣くんです。
独特な個性ある絵柄ですが、
確固たる画力を感じます。
迷い、泣き、本当に大泣きするんですけど、
『こうしたいんだ!』っていう揺るがない意思と『炎』があるんですね。
そこが、本当に魅力的です。
読んでいる我々にも、『炎』を灯してくれます。
ラスト、
番外編でもって最終的に二人が結ばれ、活躍し続けていることが描かれています。
未来は明るく、着実に理想に向け、進んでいました。
でも、
二人は日本から離れ、暮らしているようでした。
日本ではお互いにたくさんの人を殺してきたので、暮らせないんでしょうね。。
と リアルに考えてしまいました。
どんな理由や正義があろうと殺された人は還ってこないし、殺された側からしたら恨みの対照ですから。日本にいたら、二人ともすぐに殺されちゃうでしょうね。。
日本で幸せに暮らす二人を見れなかったのは残念ですが、リアルに考えたらどだい無理なので仕方ありません。
あぁでも 互いの正体を知ってもじゃれ合う二人が見たかったな(о´∀`о)
恨んでいた相手と融解する、は
とても難しいテーマですが
学ぶべき点が多いです。
リアル界の国同士の対立もあれば
宗教間の対立。
人種間の差別。
わだかまり。
身近な人間同士でだって難しい問題です。
でも
BASARA のキャラクターたちは見事にそこを乗り越え?ています。逃げたり、置いてきぼりにされたキャラがいないんですよね。
そこは、本当に見事だと思います。田村由美先生、どんだけの度量の持ち主なんでしょうか💦💦
今から20年以上前に描かれた漫画ですけど、
全く色褪せず、俄然パワーを放っています。
今はスマホで漫画が読めてしまう時代ですが、是非、コミックスを手に取り紙とインクの匂いを味わいながら何度も読んで欲しいです。
ちなみに、BASARA の中でいちばん好きなキャラは?といえば、主人公たち以外では定番でしょうが揚羽が一番好きです。
とてつもない過去を背負いながらも誇り高い砂漠の民。孤高の存在感と強さ。
旅人のフットワークと幅広い人脈。
何より私のいちばん好きな色の『蒼』が似合う人。
魅力的です。
また どこかでひょっこり逢えるのではないかと 私も想います。
それは、島で出逢って今はもう死んでしまった人達にも共通するのだと思います 。
本当にね、また ひょっこり逢えるはずーって思います。そう思いたいさ~。
あと、更紗たちは日本を駆け巡り、沖縄にも来ています◎ 首里城とか、西表島が出てきてちょっと嬉しい。
まだまだ語りたいことはあるのですが
今日はこの辺で。
ちなみに冒頭の写真はコミックス25巻・本編最終話が掲載されてる巻です。
いちばん好きな表紙を載せようと思って、悩んだのですが、
いちばんこの物語を象徴するこちら絵にしてみました 。
後ろ姿だけど前を向いているところが好きです。
最終話ラスト、
小さな時の更紗が砂漠の地を
「緑でいっぱいにしようね」
といった言葉が、全てを象徴してるように感じました 。
「緑になるといいね」ではなく
「しようね」と言い直したのです。
誰かや何かに依存し委ねるのではなく
『自分が、 やっていく。こと』
それこそが
理想の国づくり・島づくりには大切な要素なのではないかと
教えられた気分です。
まとめきれず、拙い部分が多々あったでしょうが
ここまで読んで下さりありがとうございます。