『無限の住人』沙村宏明
全30巻
講談社コミックス
久々に読み返していました。無限の住人。
この作品を初めて知ったのは雑誌ぱふで紹介されていたから。
べらぼうに絵の上手い漫画家さんがいるなぁと思ったのが最初です。
改めて読むと、
よく読んでいたなぁと思うほどの残虐な惨殺シーンの連続。。。(о´∀`о)
尺良(しら)が鬼畜なのは知ってたけど、改めて、ヤバい奴だったなと。。
しかもけっこう長生きして最後のほうまで登場してたんですね。。
卍さんのラスボス敵な立ち位置になっててびっくり。
凶(まがつ)に斬られて死んだと思ってたわ。
改めて、自分、意外と読んでたようでちゃんと読んでなかったんだと実感。
このお話は、ヒロインの凜ちゃんが、両親を殺された復讐を用心棒•卍さんと共に目指す、というのを主軸に、
復讐相手の逸刀流と幕府の思惑が重なってそれぞれのキャラクターが絡み合うというものです。
よくよく考えればそれだけなのですが、
それだけに30巻、費やされてます。
リアルタイムで読んでた時より、時間が経った今の方が冷静にシンプルに読めました。
物語中盤の、卍さんの不死を解明していくところでは、
特に更なる残虐なシーンが続き、けっこう辛いです。。。
私の記憶では、結局不死は解明されなかったと思っていたのですが、
記憶違いで、
一応の仮説は出ていました。
何巻かは忘れましたが、裏表紙に描かれていたマ○コみたいな物体は何ぞや?と思ったら、
それが、不死をもたらす元になっていると考えられる、埋め込まれた“蟲”だったんですね。
蟲というより、マ◯コ型した肉片みたいでしたが。。。(そんな例えしちゃダメ。)
一度は読んだはずなのに全然覚えてなくて、いや〜ヤバい。。。(о´∀`о)
ほんと、卍さんを不死にしたばーさんは一体何処からこれを入手したんですかね。
不死については、リアル世界でも権力者が時代時代に色々なものを試してきましたが、
実際 不死になった卍さんに言わせると、非常に虚しくて「つまらない」ものらしいいです。
あの鬼畜サディストの尺良でさえも、虚しさを感じたくらいですから、
ほんとの不死の身体で生きてる卍さんは、もっとだったと思います。
でも、作品中で卍さんの心情が語られることはなく、あくまでも卍さんはケロッとしていて、
凜を通して復讐の不毛さが少し語られるくらいでした。
テーマについて深く掘り下げず、重くならずに
ストーリーをエンターテイメントとしてブレることなく進めていく力量は流石でした。
私個人としてはあまり戦闘シーンが好きではないので、、、後半の連続する戦闘についてはもう飽きてしまったのですが。。
作品として、嘘をつかずにラストまで遂行した作品ではないかと思います。
この作品を通じて、私は《復讐》することの不毛さ、虚しさみたいなものを学びました。
相手を恨み、復讐する。
復讐は、果たしたと思ってもスッキリするものではなく、かえって更なる復讐を生み、不幸な者を生み出してしまう。負の連鎖が続く。。
《恨みつらみを子に託すのではなく、負の連鎖は自分の代で止めるべし。》
そんなカンジ。
別に、それが改まって書かれてる訳ではなく、サラッとキャラクターたちが喋って、通り過ぎていくんですけどね。
ココ、とっても重要だと思います。
私も………沖縄の離島に住んで、、、相当、酷い事を言われてきました。
酷い事を言う人ほど、勝手にイメージを描いて、勝手に傷つく言葉を言ってきます。
偏見と差別。
気付いたら歯を剥き出しにして寝ていたり、自分でもびっくりするくらい相当の怒りや恨みを無意識に抱いていたんだと思います。普通なら、陰口を言いふらして、相手が失脚するよう、復讐してたと思います。実際、そのように悪口を言いふらしている人も見てきました。
傷付いた心はなかなか癒えず、今でも思い出すと心が悲しくなる時はあります。
誰かが直接死んだ訳ではなくとも、純粋な心を踏みにじられ、心を殺された訳ですから。。
でも、復讐は、一応、してません。それで、よかったと思います。
今も、考えられないような失礼なことをしてきた人を見るたび、正直、◯◯!と悪口雑言が頭の中を埋めつくす時はありますが、、、(о´∀`о)
それもまた正直な自分の気持ちなので、押し殺さず正直に吐き出しつつ、、基本的にはそういったことはあまり考えないようにしています。
因果応報ですから。
実際、傷付くことを言ってきた人や酷いことをしてきた人は、気付けば島を去っていたり、島の人にも嫌われているものです。
復讐なんて考えなくても、
宇宙は自分のしたことを自分に還すものです。
TVでは、いっとき「倍返しだ!」という言葉が流行りましたが。。
そんなことは、考えないほうが良いです。
私の姉も、「目には目を、歯には歯だ!」と、やり返してくるタイプでしたが、、、
けっこうなトラブルに巻き込まれたり、いつもお金がないと言っていたり、、どう見てもブラックだろうという会社で働き始めたり、、、夜遅くまで副業をしていたり、、ちょっと、大変そうです。
私にも、そりゃあ恨み節の3つや4つ、5つも6つも言いたくなる奴はいますが。。。。
大概、そおいう奴は言葉が通じないので、離れるに限ります。。
復讐の虚しさは、無限の住人で学びましたので。。
たまに素直に腹が立つことはありますけど、復讐は、してません。
されたことを相手にお返しするイメージを抱くようにしています(笑)
いやいや
恨み、復讐は、誰もが抱く感情ですね。
無限の住人では、バッサバッサ、人が斬られていきます。
リアルで考えると、一回斬っただけでも刀というのは切れ味が落ちて斬れなくなると聞きますが、
それはもう連続してバッサバッサ斬られていく物語です。
女性に鬼畜な危害を加えて性的興奮を得るという、男性の鬼畜な精神も見れます。
そおいう精神の持ち主はごく僅かでしょうが、きっと、僅かには存在するのだとも、教えられます。女性の方は特に気をつけましょう。
鬼畜なものを見ても大丈夫という方は読んでも良いと思いますが、
そうしたもの一切は受け付けない、という方は止めておきましょう。
個人的にはやはり天津影久が好みでした。
王道ですね。
それぞれに掲げる正義があり、それぞれに不都合となると部分があり、、
結局、どんなに達者な刀の使いも銃を前にしてあっさりやられて。。。
時代物って、特に刀を振るう時代は、
つくづく刀だけ、が存在する世界観でのみ有効なんだなとも思いました。
銃が出てきちゃあ、もう腕っぷしとか鍛錬とか関係ないよ。
剣や刀で強くなるには必ず本人の努力や鍛錬が必要になるので、強い者はカッコイイ、となるんですよね。
そおいう時代でした。
(今は、薄汚くても殺傷能力の高いものさえ手に入れば人を殺せるから、強い者がカッコイイとは必ずしも言えないね。)
私のような見方で無限の住人を読んでる人はあまりいないだろうけど、
復讐の虚しさを知るには良い漫画でした。
『不死』も、実際そうなったら困るよね。
死ねない不幸、みたいな。
関わった人の死を見続けなきゃならないし。辛いよね。
私は幼稚園の頃から希死念慮を持ってるけど、それは、たぶん『死』に希望を感じてるからです。
何もかも終わりにできる希望、一旦全てをチャラにできる希望、
『死』は、不幸なものばかりではない。まぁだから、これだけ自殺する人も多いんでしょうが。
自殺して死ねた人はまだいいけど、死ねなくて、後遺症を負ったまま生きてる人は大変だよね。
死ぬより大変な『生』を生きることになる。
そこまで言い出したら壮大になってしまうけれど。
復讐と死について描きつつも、エンターテイメントとして斬り合いバトルを見せてくれる漫画でした。
ずっととっておいてきたけど、
これにて、処分しました。
やっぱ改めて見ても残虐性が強いし。。
そおいうのは、別に知らなくていいし、何度も見るものじゃあない。
今の私自身が、良き未来を想い描いてそっちに向かっていきたいモードなので、過去とはバイバイ。残虐性も、一旦知れば十分。
大事なのは、残虐性や悪を知ることではなく、
(そういったことも踏まえつつ)
死にたくなるほど辛い目に遭ってもなんとか幸せに生きていく、です。
たとえ純粋な心を踏みにじられても、
自分の心を自分の恨みでいっぱいにしない。
脳自体が、ネガティブなことを強く記憶するようにできているのですが、
そんなクソシステムには負けたくないですね。
私もまだまだ勉強中ですが。
卍さんみたいにあっけらかーんと生きていくのも悪くない。
(о´∀`о)
あ、今思い出しましたが、
なんとなんと、ラスト、卍の右腕が天津影久のものになってましたね。今回ようやく知りました。ははは。。遅すぎ。
卍と天津さんのバトルの最後で天津さんがした「お願い」が何だったかは分からないけど、自分の右腕を卍さんにくっつけてもらうことで、一緒に時代を見ていくという希望を託したのかなぁ、、とか。。何とか。どうなん?
この辺、もっと適切に考察した人はいるはず。
でも肝心の卍さんはもう名前すら忘れてたみたいだし(多分凜のことも忘れてるw)、
何か、薄情ってか、全く引きずらない人っていうか。
卍さんが不死を解いて死ぬとこまで見てみたかった気もするけど、あれはあれで綺麗にまとまった終わり方だと思います。
とにかく、これだけ長い物語をブレずに描ききるってすごい。
卍さんよ、さらば。
コミックス自体はもう捨てたけどさ。
この物語を読んで得たものは永遠に心(魂)に刻まれてる、ってことで。
ありがとうございました。